★住職あいさつ
人生の旅路と云うものは、誰一人として同じ道を歩む人はおりません。その中で多くの人に出会い、多くの出来事に遭遇してその道のりを歩むものです。そして、そこで今生での多くの縁を結びます。その旅路を共に歩んだ共々は、深い縁で結ばれております。
現代社会は、通信技術をはじめ、諸分野において凄まじい勢いで変化しております。いつの時代においても、変化はこの世の理であります。仏教の諸行無常、すべての存在は流転変化の過程にあり、その中で私たちは生活しております。
旅行では自分の目的地を決めてそのための準備をし、持ち物、着るものを決めて出発進行です。出発を自分で決めてから旅立ちます。しかし、人生の旅路のその出発点は、自分で決めてからだったでしょうか。命を頂いて知らずに出発してしまった、と思う時があるかもしれません。出発点、そして終着点は、・・・辿り着くところは、と思うものであります。
今生の終着点は、「死」を迎えるということ。それはこの与えられた生を、どう生きるか。ということであります。
因縁果報と云う言葉が仏教にはあります。因とは全ての出発点、そして縁とは様々な出会い、環境、それらが整って結果が生まれます。その結果から報いが生じます。私たちはこの循環の流れにあります。この旅路にある日常生活を思うとき、あらためて縁の有難さを感じるものであります。
今現在、急速かつ大きく社会構造、価値観の変化が起こっております。縁を結ぶ多くの方々の生活の中にあって、依り所となる一寺院、一僧侶として勤めてまいりたく存じます。
住職 寺尾 是堯